新潟・佐渡島に焦点をあてた新たな環境保護プロジェクト「レッドリスト・インパクト」が始まった。絶滅危惧種(レッドリスト)を冠にした取り組みで、ゴミ拾い活動や、ハイエンドなスニーカー及びNFT(非代替性トークン)の販売を通じて、海洋ごみの削減など島の環境保全に役立てる。スタートトゥデイの創業メンバーで、佐渡島出身のフリックフィット(東京)の廣橋博仁社長が音頭を取る。2月15日から阪急メンズ東京で期間限定店を開き、ブランドや活動のPRにつなげる。
佐渡島には年間300トンものゴミが国内外から流れ着く。うち半分は回収しているが、処分のため本土に送る費用は年間2000万円にものぼる。これをプロジェクトで賄いたい考え。
ゴミ拾い活動は1月末に渋谷でキックオフイベントを行った。寄付も募っており、1口5000円で絶滅危惧種の動物を擬人化したNFTアート(2100種類)を一つもらえる。「ファッションやアート、音楽などを軸に、ゴミ拾い活動を行うコミュニティーメンバー、〝ゴミ拾いファッショニスタ〟を増やし、活動の輪を広げていく」としている。
社会にインパクトを与えられるクリエイターは一握り。その姿とレッドリストの希少さも重ね合わせた。モデルの川原渓青氏やアニマルスペシャリストのフォーサイス有間氏、ダンサーのSHUNSUKE TAKAI氏が活動に賛同するインフルエンサーとして名を連ねる。
プロジェクトのスタートにレッドリストブランドのスニーカーを発売。第1弾は、トキとスマトラタイガー、フキヤガマの3種類がモチーフだ。フリックフィットの専門である人間工学に基づいたアプローチと保有する10万件の足のデータを活用した。デザインは、海外でも人気の「フラワーマウンテン」の太田圭輔氏が担当。2年かけて開発した。24センチからの7サイズで本体7万2000円。
「安くはないが、10%は環境保護にあてる。グローバルブランドに育て、日本のIP(知的財産)輸出の後押しをしたい思いもある」と廣橋社長。各数百足しか作らない予定で、1月28日に発売、すでに30足以上売れているという。販売は自社ECと都内のブランドハウス(場所は非公開)のみ。阪急メンズ東京を皮切りに国内外で期間限定店を開き、ブランドとプロジェクトの認知を広げていく。
フリックフィットはテック企業で、足の3D自動計測技術を含め多くの技術やアイデアを持つ。単にスニーカーを売るだけでなく、センシング技術を活用した健康分野も視野に入れている。廣橋社長は「我々も営利企業だしビジネスも考える。辛気臭いエコ活動はしたくないし、かっこよくやりたい」と言う。島出身の業界人も巻き込みながら地域も盛り上げたいと考えている。
(永松浩介)