ラフ・シモンズも独自スケジュールで21~22年秋冬コレクションをデジタル配信した。古い計器が並ぶ空間を、クラフトワークの音楽にのせてモデルが歩く。デビュー間もない時期のコレクションでもクラフトワークを背景にしたコレクションを見せたことがあったが、そのシーズンとは異なるライン。ラフ・シモンズらしいボリュームのメリハリで見せるレトロフューチャーなコレクションだ。
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プラダの秋冬とも重なるのは、ビッグサイズのアウターと体のラインを強調するアイテムとのコントラスト。キルティングのボリュームコートに膝丈の変形ケーブルニットといった量感のトップがキーアイテム。それとは対照的に、頭をすっぽりと包み込む頭巾のようなヘッドピースやグローブが未来的な雰囲気を醸し出す。ボリュームセーターの肘の部分には袖を留めるようなアクセサリー。ビッグサイズのプルオーバーの襟元はスカーフのような三角形のディテール。そんなディテールが、どこか宇宙船の乗組員のユニフォームのようにも思えてくる。ジャカードセーターで描くグラフィカルな配色、秋冬らしくないカラーコーディネートにもラフ・シモンズらしさが感じられる。
(小笠原拓郎)