PVパリ 秋冬展を7月に大幅前倒し 21年はMUと全日程重複

2020/02/07 16:15 更新


昨年9月のPVパリ20~21年秋冬は136カ国・地域から5万6154人が来場した(新村真理写す)

 仏素材見本市のプルミエール・ヴィジョン(PV)パリは6日、21年から会期を変更すると発表した。春夏展を1週間早い2月2~4日にし、9月に開いてきた秋冬展を7月6~8日に前倒しする。これにより、21年は伊素材見本市のミラノウニカ(MU)と全く同じ日程になる。共にファッション市場を対象とするだけに、客足や出展者数への影響は避けられない。

 会期変更の背景には、欧州のラグジュアリーブランドグループを中心に、デザイナーブランドが生地調達を早めていることがある。とりわけ、秋冬向けは8月のバカンスが始まる前に生地選定を済ませるブランドが増えており、9月開催では遅すぎるという声が出展者から上がっていた。長年、9月前半にMU、翌週にPVパリというカレンダーで回ってきたが、17年にはMUが7月展に移行。PVパリは、7月にプレコレクション向け「ブロッサムPV」を別途設けることで要望に応えられるとし、本展の会期は据え置く意向を示していた。ただ、プレビュー展の出展待ちには長蛇の列ができ、出展者からの不満は大きくなっていたと思われる。

 PVは日程変更にあたり、出展者にヒアリングし、春夏展を1月下旬~2月前半に、秋冬展を7月に早めることに対し、それぞれ66%、70%が好意的な意見を得たという。フランスモード研究所を通じ、欧州の業界人1765人に実施したアンケート調査でも、それぞれ72%、69%が賛成だった。7月のブロッサムPVは、「新しいイベント」として9月第2週に引っ越すことも決まった。12月の春夏展は未定。11日から始まるPVパリ21年春夏で、何らかの発表があると見られる。

 MUは6日、21年春夏展の閉幕後にリリースを出し、今後の開催日程について言及。日程は23年まで既に告知済みで、変更はないという。秋冬展は22年から1週間後ろにずらし、22年は7月12~14日、23年は同11~13日と発表した。PVパリとの重複を避けたと見られる。

 MUの出展者は、伊を中心とした欧州と日本、韓国だけに絞っており、608社(20~21年秋冬展実績)のうち、伊が372社を占める。PVパリは六つの見本市で構成し、出展者は48カ国・地域の2056社(20~21年秋冬展実績)と国際色豊かだが、やはり伊の出展者数が617社と他を圧倒している。メンズ主力のビエラ産地企業は多くがMUだけに出展するが、レディス主力企業は使い分けに苦慮してきたところもある。バッティングは頭の痛い問題だ。客足もますます分散すると見られ、出展者は、ターゲットとする市場やブランドをより明確にし、状況によっては出展戦略を見直す必要があるだろう。

 MUに続き、PVパリが秋冬展を7月にしたことで、同じく9月に開催してきた独ムニック・ファブリック・スタート、仏テックスワールド、インターテキスタイル上海といった国際素材見本市が今後どう動くかも注目される。



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事