プラダ 上海で20年春夏メンズコレクション

2019/06/11 06:30 更新


 穏やかな日差しと南国特有の湿った空気が心地よく肌をなぞる。「プラダ」は20年春夏メンズコレクションを、いつものミラノではなく上海で発表した。

 会場となったのは、発展著しい上海の街並みの中に取り残されたようにたたずむサイロ。かつて穀物を詰めた巨大なサイロとその柱周りを鮮やかなブルーのネオンが縁取る空間だ。世界から招待された800人の観客が、いつもとは違う街でのプラダの新作を待ちわびるなか、ショーがスタートした。

(小笠原拓郎)

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 登場するのはプラダらしいトラディショナルなテーラーリングを背景にしながら、レイヤードやグラフィックで変化を作ったスタイル。ジャケットの下に着たシャツは長めの着丈で、ヘムラインがグラフィカルなカットになっている。糸を編んだようなネックレスにループタイのような襟飾り、変形のベレー帽は80年代の英国のネオ・アコースティックバンドのペイル・ファウンテンズのようなスタイル。

 カラーブロックのブルゾンやリュックと白いパンツのコントラストで遊び、ジャケットにショートブルゾンを重ねたり、変形のセットアップで揃えたりといったコーディネートで遊ぶ。

 背景に流れるのはフランキーゴーズトゥーハリウッドとドアーズという70年代と80年代のミックス。そんな音と重なるように、80年代のペイル・ファウンテンズやスタイルに90年代のコムデギャルソン・オム・プリュスの要素を取り入れながら、ピンクやボーダーストライプの配色でプラダらしいセンスをミックスしていく。

 ミウッチャ・プラダがときおり出してくる、時代を度外視したストロングなとがり方(それもまた面白いのだが)まではいかず、ワークやスポーツとトラディショナルを、バランスよくきれいにまとめた。



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