「サルバム」が軽やかに布で遊ぶ ピッティ招待デザイナーのショー

2017/01/16 06:30 更新


 【フィレンツェ=小笠原拓郎】17~18年秋冬ピッティ・イマジネ・ウォモ展の期間中、招待デザイナーのファッションショーが開催された。

■サルバム

 靴ひもを結ばずにズルズルと歩くモデルたち。「サルバム」はアブストラクトなヘムのカットから裏地をのぞかせ、ステッチワークやストリングスのディテールで遊んだ。これまでと共通するラインだが、いらだちや焦燥感のようなもの込めた服というよりも、ちょっと肩の力の抜けた雰囲気に変化した。

 きっちりとしたテーラーリングがほとんどなかったこともあり、ファーストショーで色濃かった「ヨウジヤマモト」の面影は随分と薄れた印象だ。そこに残ったのは藤田哲平らしい、軽やかな布の遊び。ロングシャツのレイヤードや太めのパンツの量感、ペーパータッチのジャケットのカットオフの荒々しさが彩りとなる。

 カムフラージュのアイテムも多いが、その分量ゆえにミリタリー風には見えず、ただの柄のようなイメージ。ボリュームたっぷりのニットを頭からぐるぐる巻いたトップなど、ほんのり毒気も匂わせてヨーロッパのデビューショーを飾った。

 惜しむらくは、大きな会場でどういう見せ方がよりベターなのかをもう少し緻密に煮詰められれば良かったか。服の細かな気配がもう少し伝えられれば、より評価は高かったように思う。

 

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サルバム(写真=catwalking.com)

 

■ティム・コペンズ

 「ティム・コペンズ」はトラディショナルなテーラードとトラックスーツを組み合わせた。グレンチェックのジャケットと合わせたのは赤いトラックスーツ。キルティングブルゾンは裾にシャツがくっついて、重ね着しているように見せる。バックペイントのレザージャケット、爆弾プリントのスウェットパーカなども。

 正直なところ、トラックスーツのミックススタイルは1年前に「バーバリー」が出して、今や街でもいっぱい見かけるもの。そこに何か新しい提案はあるのだろうかと疑問にも思う。

 

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ティム・コペンズ(提供写真)


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