16年春夏パリ・コレクション4

2015/10/06 05:55 更新


 16年春夏パリ・コレクションは、新しい価値観や美しさを探るコレクションが相次いだ。その手法は様々だが、伝統を背景にした手仕事の技術で見せる一方で、ボディーと服の概念を考えさせるようなコレクションがある。その振れ幅がパリ・コレクションの魅力でもある。


ミステリアスな美しさ コムデギャルソン

 真っ赤なヘッドピースにダークな造形ドレス。コムデギャルソンはミステリアスなムードを漂わせる迫力のスタイルを揃えた。ここ数シーズンのコンセプチュアルな〝服の概念を超えた〟服のシリーズの流れだが、春夏はブルーを軸にしているのが特徴だ。アストラカンやヘアカーフのフェイクファー、ベルベット、ラメといった生地が中心で、艶やかな色と毛足のある風合いを生かしながら造形的なスタイルに仕上げる。すっぽりと体を覆いつくす量感のフォルムのドレスには、袖という概念もない。

 たわわなドレープとそれを留めるフェイクファーが輝き、いびつな膨らみにふわふわとしたフェザーが揺れる。頭からすっぽりと覆いつくすボリュームのドレスの奥から、ぎらりと瞳が輝く。顔すら見えない量感のスタイルが、魔性の力のように美しさを際立たせる。テーマは、「ブルーウィッチ」(青い魔女)。(パリ=小笠原拓郎、写真=大原広和)



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