【パリ=小笠原拓郎】25年春夏パリ・オートクチュールは終盤、話題のコラボレーションによるショーや注目ブランドのショーが相次いだ。コンサバティブにも見えがちなオートクチュールをどう現代的に表現するかが問われている。
(写真=ヴァレンティノは大原広和)
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ヴァレンティノのショー会場に入ると、劇場風になっている。暗闇の中で幕が上がると、そこには赤いデジタル文字でたくさんのワードが流れている。モデルたちはその文字の洪水を背景に登場して、立ち止まる。すると後ろにルック番号が浮かび上がる。
クレープデシン、シフォン、インクジェット、ヴァージニア・ウルフ、ムーン、チャイニーズシアター、タフタ、ラッフル、17世紀、ビクトリアンファッション、ルネサンス。今回のコレクションを構成するたくさんの言葉が、次々と映し出される。さまざまな時代と文化を背景に、それをミックスあるいは並置して見せる手法。デジタル文字の洪水の中に放り込まれたかのようなランウェーが、アレッサンドロ・ミケーレの服にリズムと臨場感を与えていく。