パリの百貨店 あす113日ぶりに再開

2021/05/18 06:26 更新


 【パリ=松井孝予通信員】フランスは段階的な都市封鎖緩和により5月19日、40日ぶりに商業が再開される。封鎖前に休業を命じられたパリの百貨店は113日ぶりだ。2年連続100日超の休業は、ギャラリー・ラファイエット(GL)グループとプランタングループに人員削減や店舗・部門の閉鎖を招いた。GLパリ本店の20年売上高は前年比50%減。昨年末に3億ユーロ の政府信用保証融資を受け、年明けからの再都市封鎖を予想せずにコロナ禍前への回復のシナリオは24年と描いていた。

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 重なる苦境で百貨店が注力したのは、ECよりもライブコマース(無料)だった。客は単なるクリックには物足りず、デジタルとはいえ、人とのつながりがもたらすエモーションのあるショッピングを求めた。百貨店のパーソナルショッパーサービスは、電話で聞いた客の要望をもとに、ライブコマースを準備する。ル・ボン・マルシェでは、高級アパルトマンのような特別サロンに設置したインタラクティブミラーが活躍している。同店スタイリストが客の代わりに商品を試着。客はこのミラーから配信される360度のライブ画像を見ながら買い物を進める。

 インバウンド(訪仏外国人)の不在、ラグジュアリーになって再オープンするラ・サマリテーヌ(LVMH傘下)と既存百貨店を取り巻く環境は厳しさが増す。戦略の要は地元開拓だ。各社は客の声が聞けるライブコマースの潜在性に期待し、店舗再開後も継続する。

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