「来期(25年2月期)も賃上げを予定している。この時代は賃上げをやれるかやれないかが勝負」――パルグループホールディングス(HD)は、23年度に続き、24年度も賃金のベースアップを実施する考えだ。今上期(23年3~8月)の決算発表で、井上英隆代表取締役会長が明らかにした。
23年度に賃上げを実施し、「社員のモチベーションが上がるなど、効果は出ている」。「他産業とも人材の取り合いになっている」(松尾勇パル社長)なか、「賃上げは人材獲得には必須項目」(井上会長)と捉え、24年度も計画を進めている最中だ。
上期の連結業績は売上高、利益のすべてで過去最高を更新。「スリーコインズ」は物価上昇が続くなか〝生活防衛雑貨〟としても支持され、売上高314億7900万円(前年同期比33%増)と、雑貨事業の大幅増収をけん引した。ただ、円安をはじめとしたコストアップ要因から、利益は減少した。
全ブランド、アイテムを含めた一品平均単価は9040円で約12%上昇と、今までにない上げ幅になった。下期については「コストを抑えることは難しい。製品にどれだけ付加価値を付けるかがポイントになる」とし、40以上ある各ブランドにその具体化を求めている。ブランドの世界を生かし、ライフスタイルに合わせて新しいものを提案するプラス・ワン・カテゴリーの強化が、「一つの大きな方向性になる」。
上期の好業績を受け、通期の連結業績予想は、売上高を1842億7000万円に、各利益もすべて上方修正した。ただし、上期の好業績分を反映した形で、経営環境は厳しさが続くとみて、下期は期初予想に変更を加えていない。