リユース市場の勢いは24年も続いた。09年からリユース経済新聞が推計している市場規模の24年度版がまとまるのは来秋だが、コメ兵やセカンドストリート、トレジャー・ファクトリーなど大手は国内外で出店を重ねており、成長の余地はまだまだありそうだ。旺盛なインバウンド需要も後押しする。さらにJ・フロントリテイリングがコメ兵と新会社を設立するなど、業界は新たなフェーズに入ったように映る。
アジアに続き北米へ
リユース経済新聞が昨年時点で予想した24年の市場規模は3兆2500億円。最新の23年度は3兆1000億円だった。インフレの影響から割安なリユース品への注目度が上がり、買い場も増え消費者に身近になった。市場にネガティブな要素は少なく、各社は出店を強化するなど勢いを増す。コメ兵ホールディングスは直近の第2四半期だけでも、国内15店、海外2店を出した。セカンドストリートは25年3月期中に国内60店、海外34店を計画している。
海外事業では、アジア一辺倒から北米を目指す動きもある。既に進出し出店を着々と進めるセカンドストリートに続き、コメ兵と買取王国が北米進出を表明した。セカンドストリートは今期中に15店出す計画で動く。日本人による鑑定で信頼の証しである「チェックド・イン・ジャパン」は海外でも有用だ。
既存大手と連携
市場が拡大し顧客争奪戦が激しくなると、リユース店も一様にはいかず、新たな業態開発も進む。
コメ兵はビンテージ専門店を都内に開設し、セカンドストリートも立地に合わせた特徴のある「コンセプト店」を今後増やしていくという。例えば、ビンテージの品揃えを厚くした高円寺店や、ハイブランドを集積した渋谷店などが一例。市場の大きいレディスはまだ〝ホワイトスペース〟で開拓の余地は大きく、各社工夫を凝らし業態開発を進める。
取り組みは緩やかではあるがブランドが自らリユースを手掛けるケースも進んだ。TSIの「マーガレット・ハウエル」は今春、リユース品を専用ECサイトで販売し、総合アパレルの三陽商会も6月から認定リユース品の販売を始めた。アバハウスインターナショナルは秋に顧客から不用になった自社製品を回収、来年再販する予定だ。
リユースの一般への広がりに伴い、新品を扱う既存流通もリユース業に秋波を送る。楽天はコメ兵と提携し、フリマアプリ「ラクマ」の真贋(しんがん)鑑定を委託する。J・フロントもコメ兵と手を組み、グループ内の店舗で中古品を買い取り、コメ兵に販売する事業を来年から始める。
メルカリの試算によると、国内の家庭に眠る隠れ資産は66兆円を超える。新品を扱う業者と異なり、リユース業者にとって買い取りは生命線。隠れ資産を巡って、既存流通との合従連衡がさらに進む可能性がある。
(繊研新聞本紙24年12月20日付)