採用活動前倒し
19年春の新卒採用も売り手市場となり、ファッションビジネス(FB)業界では多くの企業が予定していた採用人数を確保できないまま採用戦線が収束した。経団連加盟企業など大手の面接・選考活動の解禁は6月だったが、景気回復を背景に、ほぼ全産業で採用を増やす動きが強まっており、4~5月の段階で複数の企業から「内々定」を得た学生は多く、採用活動は前倒しで推移した。
特定の業種や大企業に人気が集中し、FB業界では内定辞退が目立ち、販売職などを中心に採用活動の長期化も見られる。
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少子化の影響で新卒採用は今後も厳しい状況は避けられない。20年春の採用に向けて、8月のインターンシップ(就業体験)開催や解禁前の3月に大学3年生向けプレ採用イベントを開いたり、活動の早期化を進めている。
また経団連は21年春の新卒採用から採用面接の解禁日などを定めた指針を廃止することを決めており、横並びの新卒一括採用を見直す動きが広がりそうだ。政府主導で新たなルールが検討されているが、人材争奪はさらに激化の様相で、活動の早期化や通年採用の拡大も予想される。
日本の労働力人口はこの10年、6600万~6800万人で推移し、就業者数も女性や高齢者の就業増などで6600万人台と10年前に比べ200万人増えている。ただし今後は、少子化と高齢化の影響で労働力人口、就業者数ともに減少に転じることが予想される。業種別の就業者数は、医療・介護が大幅に増加している半面、建設や製造業では就業人口の減少が著しい。
また、都市部と地方の格差も広がっている。物作りの伝統を守るためにも、地方経済を支えるためにも、働き手の確保が最重要の課題となっている。

縫製業の廃業相次ぐ
劣悪な環境下で低賃金で長時間労働を強いられるイメージを払拭(ふっしょく)し、実習生の待遇改善を目的にした外国人技能実習法の施行から1年が経過した。外国人技能実習機構による認定や許可制となり、罰則も設けられた。
国内縫製業は外国人技能実習生への依存度が高く、多くの縫製工場は実習生なしでは成り立たない。新制度に移行して1年、縫製業の転廃業が相次いだ。工賃が上がらないなか、法を少しでも逸脱すれば受け入れ認可が取り消される。縫製業の一部で違法行為が是正されていないとの指摘があるのも事実だ。経営を維持できないとやむなく廃業するケースが後を絶たない。
18年12月には国会で「深刻な人手不足の解消」のため、改正入管法が可決された。18年4月に施行される。特定技能が認められれば、就労資格が取得でき、家族の帯同も可能だ。人手不足が、外国人労働者の受け入れへと政府の方針を転換させた。
(繊研新聞本紙12月28日付)