アパレルの物作り新戦略① 蓄積したノウハウを資源に

2018/09/15 06:29 更新


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 アパレルメーカーが自らの立ち位置を見つめ直し、改めて服作りの技術や仕組みを磨く動きが活発だ。流通形態や消費動向が変化するなか、痛みを伴う模索も続いたが、長年にわたって蓄積してきた物作りのノウハウを改めて経営資源に位置づける。目指すのは、消費者から共感を得られる〝新しい付加価値創造〟だ。

(北川民夫)

 総務省・家計調査年報によると、17年の1世帯当たりの月平均の総支出は10年前に比べ5.0%減少した。一方、ファッション市場を主とする「被服及び履物」への支出は16.4%減った。ファッションへの支出が大きく減っている理由の一つは、景気回復の実感の乏しさや、可処分所得の減少で不要不急の消費を抑えようという意識の働きが挙げられる。

使用価値へシフト

 他方で、ファッション市場でも購入や所有ではなく共有(シェア)型の経済を指すシェアリングエコノミーが普及している点も大きい。CtoC(消費者間取引)のフリマアプリや、サブスクリプション(購入せず利用期間などに応じて料金を支払うもの)などのサービスが広がっている。これらを背景に、購買による「所有価値」から、共有する「使用価値」へと需要がシフトしつつあり、業界に影響が及んでいる。

 この数年、日本のファッション産業は価格を下げて需要を喚起してきたが、原料高や工賃アップによる調達コスト上昇で、価格戦略の限界も見える。新たな施策が必要になっている。

 ミドルからアッパーにかけての中間価格帯と呼ばれる衣料。その付加価値の源泉は消費者を刺激するデザインや物作りにある。「〝開発技術のプラットフォーム〟を最大限生かし、そのイノベーション自体を事業化する」と宣言するのはオンワード樫山。18年秋冬から、独自開発技術プロジェクト「アドバンスドシステム」事業を打ち出す。「圧倒的な単品力を持つ商品開発や、絶対的な技術や機能価値を発揮するものを世界市場を対象に打ち出し、事業化を加速する」(大澤道雄社長)考えだ。

オンワード樫山は独自開発技術プロジェクト「アドバンスドシステム」をスタート

買う判断基準示す

 三陽商会は「何百万もの商品情報が市場にあふれるなかで、消費者は何を買っていいのか分からない状況にある。世界市場に通用する日本のアウターブランドとして購買の判断基準を明確に指し示す」とし、祖業のコート専業ブランド「サンヨーコート」を前面に出す。

 一方、時代変化に対応しながら市場を確保する動きもある。ジュンは「ファストファッションが商品としての品質レベルを上げてきている。当社は〝ファッション屋〟として、センスやこだわりの物作りで〝その先〟に行く」ことで差別化する。「ファッションのカテゴリーを広い意味でとらえ、消費者が興味を持つものを提供する」と新たな需要創造にも力を注ぐ。

フィールズインターナショナルはスビン綿の生産者と直接取引契約し、原綿の安定供給とトレーサビリティーを確保する

 レナウンの主力ブランド「アクアスキュータム」は個々の顧客に対するカスタム仕様の提案を強化して〝自分だけの一着〟として、所有価値を高めた商品を訴求する。

 ワールドグループのフィールズインターナショナルはアパレルメーカーとしての社会的責任を意識し、実践することを重視する。19年春夏向けからインド産スビン綿の原綿業者、アパッチ・エコロジック・コットンとの継続的な取引契約を結んだ。原料生産から始まる物作りをサステイナブル(持続可能)に運営するための施策や環境保護の重視、最終消費者に対するトレーサビリティー(履歴管理)を重視する。これらが「顧客とブランドの間の共感を形成する上で、不可欠な時代になっている」と指摘する。

(繊研新聞本紙7月23日付けから)


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