本橋テープ オリジナル商材へ事業領域を広げる

2018/07/18 06:25 更新


 細幅織物製造卸の本橋テープ(静岡県吉田町)は、静岡の自社工場での商品開発と販路開拓で存在感を示している。多品種小ロット、OEM(相手先ブランドによる生産)からオリジナル商材へ事業領域を広げるとともに、全社員が意見を活発に出し、ビジョンを共有する組織を作っている。静岡県の地域産業資源に認定され、国産細幅テープの認知度向上とブランド化を目指している。

 同社の強みは、2000種類の細幅テープのストック。海外品との価格競争に対応するため、00年に多品種小ロット生産に転換し、現在はプリントや染色加工も自社で行い、商品力を高めている。7年前から海外展示会にも出展。国産の織りの質感や風合いを前面に出し、高級ブランド数社と取引する。

 OEM供給を開始した07年以降は製品開発を強化し、オリジナルも展開。中でも「拵」(コシラエ)は細幅テープを編んだバッグブランドで、テレビ番組でお笑い芸人が海外ロケで活用して話題になっている。素材はナイロンやポリプロピレンで強度があり、雨や水滴も吸わず、取り扱いやすい。テープごとに色を変えることができ、好みのデザインにできるカスタムオーダーを直営サイトで受けている。

オリジナルバッグの「拵」。テープ色を変えられるため、自分だけのデザインができるのが好評で、細幅テープの可能性を広げる

 最近は、自社で行う転写プリントのオリジナル柄を生かしたペット用首輪やリード、キーホルダー、ベルト、キャンプ用に30キロ耐荷重のフック付きベルトなどをEC販売している。

 こういったオリジナル商品は、社員が「吉田発の細幅テープの価値を高める」思いで開発する。約10年前は25人だった社員が、今は48人に増えた。多様な人材が働きやすい会社に向け、地域イベント、女性活躍の場作りも強めている。

本社には加工場や展示ショールームも併設

 オリジナル商品を広げてはいるが、あくまで資材メーカーとして取引先を重視する姿勢は変わらない。「テープ資材の用途や可能性を広げて、今治のタオル、鯖江のメガネと同じく〝吉田のテープ〟として地域ブランド化を目指す」(本橋真也社長)とする。17年に静岡県の地域産業資源に認定され、今後は静岡での他産業や企業との協業も積極化していく考え。

 同社は62年創業。86年から法人化し、ナイロンやポリプロピレンの細幅織物の製造・開発・卸を展開する。多くの同業他社が海外に工場を移した中で、生産を地元静岡の吉田町と牧之原市の自社工場で行っている。得意商品はバッグ資材で、売り上げの6割を占める。最近は産業用・避難用の安全ベルトなどで受注を伸ばしている。設備は主にニードル織機で、日産4万メートル。18年4月期年商は6億6000万円で、今期は7億円を計画する。

本橋真也社長


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