シャツメーカーのフレックスジャパンは昨年夏、東日本大震災による原発事故で大きな被害を受けた福島県双葉町の復興産業拠点に縫製工房「ひなた工房双葉」をオープンした。新事業のリメイクによる衣料品再生の発信拠点として工房にショップも併設している。日常的にはオーダーシャツの生産やラボ的機能も担う。
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服の思い出を再生
福島県双葉町は震災後長い間、全町民の避難が続いていた。22年8月にJR双葉駅前の一部地域の避難指示が解除されたばかり。かつて7000人住んでいた町民も現在、100人ほどしか暮らしていない。復興産業拠点エリアでフレックスジャパンが契約した6300平方メートルという広い敷地内に162平方メートルの工房と併設するショップ(約50平方メートル)を構える。繊維・アパレル業界では、同エリアに浅野撚糸の工場がある。
衣料品を再生するリメイク事業は、双葉町への進出を決めた21年に本格始動した。双葉町の工房が開設するまでは、長野県の本社工場内や東京事務所などにアトリエショップを設けて事業を先行させた。そもそも福島県と深いつながりがあったわけではなかった同社だが、現地を訪れた矢島隆生社長には感じるところがあったという。「リメイク事業は競合も多く企業の事業として成功するのは難しいと思っていたが、震災からの復興に向け、ようやく街の再生に動き出した福島県双葉町と愛用した服に残っている〝思い出を再生〟する当社事業の歩みを重ね合わせることの大切さに気づかされた」と強調する。
縫製未経験者でも
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