東京などを除く39県で新型コロナ1回目の緊急事態宣言が解除された翌日の20年5月15日。岐阜のカジュアルメーカー、水甚の取締役・中村有孝さんは父で社長の好成さんの家でレナウンの経営破綻のニュースを聞いた。好成さんと有孝さんは迷わず、名の知れたブランド「アーノルドパーマー」のライセンス使用権の取得に動く。その日のうちに先方に連絡、意向を伝えた。
強みの物作り生かす
レナウン時代の売り上げ実績は、小売り経験が浅い水甚には高いハードルだったが、有孝さんは自社の強みをプレゼン資料にまとめ交渉に臨み、10月にライセンス契約を取り付けた。翌年3月に水甚による1号店がオープンし、今ではSCを中心に56店を構える。昨年8月には伊藤忠商事と「エディー・バウアー」の製造化権の契約を結んだ。ブランドを探していたこともあるが、親子2人でスピーディーに意思決定するのは、コロナ下の逆風にあっては出色だ。
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