高級服地とスーツの製造販売の御幸毛織は、動画を用いたマニュアルで若い世代への技術継承を推進している。動画は社内共有フォルダに格納されているため、社員が確認したい時にいつでも閲覧できる。特に工場の工程において、紙ベースでは伝わりにくい職人のテクニックを直感的に確認できるとして好評だ。導入した21年6月以降、作成された動画マニュアルは700本以上になる。
動画マニュアルは同社の管理部門や繊維部門に導入した。特に四日市工場の機械のメンテナンス方法や作業手順のマニュアルなどに活用されている。子会社であるミユキソーイングの小樽工場、長崎工場でも導入しており、縫製の手順や事故例、コートの作り方などをアップしている。
作成は動画作成に慣れている20代前半の若手社員が中心。作成者は自身の作業の確認にもなり、ベテランに相談しに行くことで「コミュニケーションが生まれ相乗効果となった」(小幡晃義執行役員)という。
動画の長さは1分ほど。トップ染め、整理、毛織、裁断など部門ごとに、安全上気を付けるポイントなど「現場で困っている部分から」作った。1本1時間ほどで簡易に作れるため作成者の負担も軽い。
動画は新入社員のマニュアルになるだけでなく、動画で動きの無駄を見つけ仕事の効率化や、閲覧後のテスト機能で人事評価での活用も視野に入れている。