婦人服メーカーのマイク・グレー(東京、岩本信徹代表取締役)の売り上げが伸びている。運営する2ブランドは小売り、卸ともに好調。定期的に開く期間限定店で関心・認知を高め、SNSに誘導、ECおよび直営店で購入という動線が確立されつつある。大阪にも直営店を出す予定で、25年9月期は8億円の売り上げを見込む。
(永松浩介)
大人かわいいの「ポンデシャロン」と、日常の道具服と称する「レリル」を手掛ける。鎌倉と東京・東神田にそれぞれ直営店があり、両ブランドで約250社の卸先も有する。22年9月期の売り上げである3億円から前期は6億円と伸ばしてきた。過去3年間は卸も20%増のペース。6割が卸の売り上げだ。
前期中に半年で30カ所、自前で期間限定店を運営したのが奏功したとみる。「東京だけでなく名古屋、大阪、福岡で開催。出張ベースの運営の負荷は高かったが、得たものは大きかった」と長浜友信取締役社長。それまで代行会社を使っていた販売を自前化し、地道にSNS投稿を続け、ECおよびオフライン店での顧客作りにつなげた。
レリルの直営店を開いた昨年8月ごろから成長が確かなものになった。昨年5月には両ブランドともモールに出店しており、ECサイトのリプレイスも後押し。とりわけレリルの顧客の熱量は高く、昨年10月に企画したレビューキャンペーンでは1カ月に300件のコメントを集めたほどだ。
一方の卸は、商いの深い取引先にディレクターやデザイナーが出向いて店舗で販売イベントも開催。店頭は盛り上がり、バイヤーや顧客を喜ばせた。「取引先はブランドを鍛えるパートナー」と長浜社長は言う。卸売りも引き続き強化していく。
今期は期間限定店の開催頻度を年間で30件ほどと抑えるが、営業の基本路線は踏襲。前期に実施した雑誌・ウェブメディアとのタイアップ広告を通じた知名度向上策も継続し、卸先にも出向く。インスタライブでの情報発信でECに送客、その後オフラインでの販売という同社の勝ち筋の精度も高める。
大阪での新店売り上げも加算し、通期で2億円ほど積み上げる計画。売り上げ予算には入れていないが北米や台湾、香港など海外販売の可能性も探っている。