《めてみみ》無理しても、笑え

2017/07/04 04:00 更新


 接客業にとって、笑顔は顧客や従業員同士のコミュニケーションに欠かせない。楽しいから笑うのは当たり前だが、つらく、苦しい時に無理してでも笑うことで、幸せな気持ちになる効用がある。

 三越伊勢丹グループは、ストレスチェックを活用した職場環境の改善やセルフマネジメントの一環で、15年に「笑顔プロジェクト〝笑う門には福来たる研究所〟」を設立した。主に表情筋を鍛え、自然な笑顔を作る笑顔トレーニングを全社で行う。店舗や後方部門での朝礼時に動画を視聴し、トレーニングに取り組む。

 グループ従業員延べ5000人にアンケートし、仕事やプライベートの充実度や疲労の状態を調査したところ、トレーニングを積極的に取り入れているチームに、前向きな回答が多かったという。

 笑顔トレーニングの効果をさらに高めるため、鶴見大学歯学部、ロッテとの共同研究で咀嚼(そしゃく)を併用した実験を行った。このほど開かれた第17回日本抗加齢医学会総会でストレス低減効果が認められた。笑うことは人間だけがコントロールできる行為だ。トレーニングすれば、仕事や自らの生活に好影響を与えることを実証した。

 笑顔トレーニングの効用はもちろんだが、顧客や職場の仲間への真心と思いやりが最も大切であることに変わりない。もてなしのプロとして、仕事の価値を高めたい。



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