ジブリパーク(愛知県長久手市)に子供を連れて行ってきた。ジブリ作品の世界を表現した公園施設で、物語の舞台の建物や部屋などをリアルに再現し、アニメ作品に自分が入り込んだような作りになっている。親子ともどもセリフをそらで言えるくらい作品を見ているので、大好きなシーンの場所では興奮した。
ジブリの強いこだわりを感じたのは『耳をすませば』の舞台。アンティーク家具や時計の修理・販売を行う「地球屋」だ。そこの目玉は2階にある猫の置物バロンと古時計、そして主人公たちが曲を奏でた1階の工房だが、映画では映らなかった店舗奥まできちんと作り込まれていた。
置いてある家具の多くは触れられる。興味本位にキッチンの冷蔵庫や引き出しを開けてみると実際に物が入っており、登場人物がそこで暮らしているようにすら思える。隅に置かれた古新聞の束は物語の設定年の1994年に発行された実際の新聞で、さすがにびっくりした。そこに気付く来場者は少ないはずだが、細部までリアリティーを追求するからこそファンに「また行ってみたい」と思わせるのだろう。
ECが普及した昨今だが、訪れるからこそ得られる発見や喜びは他に代えがたい。「また行ってみたい」と思ってもらえるために。リアル店ならではの価値の打ち出し方はまだ色々とあるはずだ。