今秋、ラグジュアリー企業2社が、東京で映画関連のイベントを開いた。ケリングは、女性を取り巻く環境やジェンダー平等などの課題について考える恒例企画「ウーマン・イン・モーション」を、東京国際映画祭の公式プログラムで開催した。シャネルが早稲田大学で開いたのは、次世代の映画人を育てるためのプロジェクト「シャネル・アンド・シネマ・トウキョウ・ライツ」のマスタークラス。映画界に携わる人や志す人など300人以上が受講した。
それぞれ目的は違うが、ともに日本の映画産業における働き方が議題に上がった。両イベントであいさつした映画監督の是枝裕和さんは、「スタッフが継続して映画製作に関わりながら、きちんと人生設計できる環境作り」の必要性を強調した。
特に女性の場合、出産後も以前と同じように働き続けるのは簡単ではない。もちろん男性も、子育てや介護など人生の様々な局面でキャリアがストップする可能性がある。映画産業の発展には、サポートや労働環境の改善は待ったなしの課題だという。
それはファッション業界にも共通する。家庭と両立するために、ただがむしゃらに働くのではなく、限られた時間の中で効率的に力を発揮できる持続可能な働き方とはどんな形か。若い世代が携わりたいと思える産業に発展させるためにも、意識をもって話し合う必要がある。