《めてみみ》地球沸騰化の中で

2024/12/10 06:24 更新


 毎年11月下旬~12月初旬は、セレクトショップなど専門店の来春夏商品の展示会が相次いで開かれる。次シーズンのトレンドや商品の傾向について取材する中で、今年は例年以上に猛暑を前提にした商品企画やバイイングを心掛けるという店が多かった。

 手頃な価格で服を売るSC主力の専門店チェーンなどでは、数シーズン前から見られた傾向だ。来年は高感度層に向けた専門店でも春先のアウターの比率を抑え、真夏の時期まで長く着られるシャツやカットソーアイテムの比率を上げるという。

 前月の気温推移と翌月の天気予報をもとに需要予測を立て、店頭への投入量やMDを随時変更するというSPA(製造小売業)のような仕組みを導入するセレクトショップもある。

 全国的にもっと暑い地域もあるが、東京の夏日は23年が143日と過去最多を記録した。24年は153日であっさり記録を更新した。セレクトショップなど中~高価格商品が主力の専門店は店舗の5~6割が関東に集中する。

 その要因は人口の多さに加え、夏の暑さが厳しい地域に比べ、四季の変化が比較的穏やかな首都圏の方が旬のファッションを楽しむ客が多いからと言われてきた。その前提が気候変動で崩れた。国連のアントニオ・グテーレス事務総長の「地球沸騰化」という発言の真実味がファッション業界でも増している。



この記事に関連する記事