北関東のとある美術館が修繕のため、クラウドファンディングを実施した。設計を手掛けたのは有名な建築家。ぜひ一度実物を見に行きたいと思っていた。だが出来てまだ20年強というのに雨漏りし、外装の木材も腐食するなど老朽化が進んでいるという。
同じ建築家が手掛けた別の公共建築はわずか6年で腐食やカビが発生し、こちらも大規模修繕が必要になっているそうだ。これまで話題の建築を見に行っては、外観デザインやマテリアル、空間の醸し出す雰囲気などに感心していたが、立て続けに起こった問題から改めて建物の役割について考えさせられた。
どんな建物も長持ちさせるにはメンテナンスが必要だ。だが、施主が想定しない早さで劣化したのではさすがに支障がでる。計画的に修繕しつつしっかり時を刻むことで生まれる味があり、愛着もわく。住宅やビル、公共施設で建築に求めるものは違うし、施主によって考え方も様々だろうが、新築時は100点でも急速に減点してしまうような建物だとしたら、何だか寂しい。
洋服も新品の状態が最高で、すぐに劣化する物が多いかもしれない。新しい物を買うのもファッションの楽しみ。だが一方で、長く着用することで経年変化を楽しめるジーンズのようなアイテムもある。時間とともに思い出がつまった、古びた我が家のような服を何着か持ちたい。