9月に各地で発表された25年春夏のショーや合同展で、アフリカブランドが存在感を示した。東京で初めて開かれたトラノイ・トーキョーでは、ケニアやナイジェリアなどから約20ブランドが出展し、目玉となった。数が多いだけでなく、クオリティーの高い商品も多かった。
何より社会課題に対する意識の高さは群を抜く。貧困女性の雇用促進や経済的自立のサポート、サステイナブルなどに力を入れるブランドが多く、それぞれが目的意識を雄弁に語ってくれた。南アフリカ出身のデザイナーは、「地域のみんなで幸せになることを目指している」といい、大家族が軸にあるアフリカの底力を感じた。
ロンドン・ファッションウィークでは、仲間を尊敬し共に喜ぶという精神を感じた。若き英国系ナイジェリア人デザイナー「トール・コッカー」のショーのフィナーレでは、駆け付けたアフリカ系のファンたちが総立ちに。クオリティーに成長の余地はあるものの、観客も巻き込んで作り出すパワフルな熱気に圧倒された。
最後の成長大陸と言われるアフリカの現在の人口は15億人。2100年には世界人口の3人に1人以上がアフリカ系になると言われている。経済的な成長も著しく、欧米でファッションを勉強した若手デザイナーも増えている。強い発信力も相まって、一大勢力になる日も遠くなさそうだ。