ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、海外で新たな市場に進出するとき「自分たちが何者で、出店するとその国にどんな良いことがあるか、伝えられなければ商売はうまくいかない」が持論だ。
だからユニクロは「あらゆる人が良いカジュアルを着られるようにする新しい日本の企業」と自己紹介し、売っている服は「ライフウェア=究極の普段着」と説明している。
傘下のジーユーは今期(25年8月期)、グローバルでの成長を加速する方針だ。柚木治社長に海外でどんな自己紹介をするのか、聞く機会があった。返ってきた答えは「ミニマム(最小限)の編集でマキシマム(最大限)の価値を提供する企業」だった。
作るものをえりすぐってサプライチェーンを効率化し、良い品質の服を安く提供する。ほかのアイテムとの組み合わせを前提に商品のデザインとパターンを考え、着回しのバリエーションを最大化する。創業以来続けてきたことを、9月に米国1号店を出す際に改めて言語化したのだという。
品番を最小限に絞って価格を抑え、最大量を売る。マストレンドの商品だが「無駄なものは作らず、売らない。財布にも地球にも優しいブランドを目指す」と柚木社長。多くの国がインフレに悩み環境異変も続くなか、伝わりやすく、共感を得やすいスタンスかもしれない。