《めてみみ》ハイブリッドなファン作り

2024/08/13 06:24 更新


 少し前の話だが、記者が毎週聴いているラジオ番組「オードリーのオールナイトニッポン」が東京ドームで開いたイベントは、配信を含め16万人を動員した。エンターテインメント業界ではコロナ禍以降、オンライン配信で会場に来られないファンも一緒に楽しめるようになった。一方、リアルな場でライブを体感できる人数は限られ、そのチケットはプレミアム化している。

 記者も取材活動以外はテレワークが中心なので、会社に顔を出す機会が減った。久しぶりに先輩社員と会うと「レアキャラ登場」といじられる。社会全体もデジタル技術を生かしたハイブリッドな働き方が定着してきた。

 よく取材している地方の個店もSNSなどを駆使してファンとの接点を増やし、EC売り上げを伸ばしてきた。伸びは鈍化したとはいえ、そもそも商圏人口が少なくファッション好きの数が限られる地方都市で営業する個店にとって、全国を対象にできるECは欠かすことができない。

 ある個店ではプロ仕様の機材を含め、数億円かけて本格的なユーチューブ専用スタジオを開設した。だが、出演するのは実際に店頭に立つ販売スタッフたちだ。ECに頼り過ぎては実店舗の存在意義が薄れファンは残らない。地方こそSNSと連動したハイブリッドな手法でリアルな販売現場に磨きをかけなければならないだろう。



この記事に関連する記事