SCの23年度業績を本紙で検索すると、過去最高売上高を達成・見込みという施設が12あった。インバウンドの上乗せが大きい大都市部の施設が多いが、地方都市などの郊外型SCもいくつかある。入店客数はコロナ禍前には戻っていないので、業績向上は買い上げ率と客単価が向上した結果だ。
コロナ禍が落ち着き、各SCで改装計画が進み始めた。この改装が功を奏しているのだろう。SC全体にキャラクターショップや体験型コンテンツ、飲食・食物販の新規導入が目立つ。期間限定店やワークショップなどを実施するイベントスペースを強化したところも多い。
トイレの美装化、子供の遊び場などレストスペースの拡大、屋上広場の改装など直接的には売り上げに反映しない共用部への投資も進む。これらも来店動機につながる大事なコンテンツの一つ。リアルの魅力向上を狙いとする多様なコンテンツを配することが、館内買い回りを高めているのだろう。
営業時間の短縮やテナントが任意に休める「個店別休業日制度」などを含め、休館日を増加したSCもある。これらの施策による売り上げへのマイナスの影響も今のところ聞かない。テナント揃えだけでなく、ES(従業員満足)を高める職場環境、CS(顧客満足)向上のための各種取り組みといった総合力が、アフターコロナの〝選ばれる施設〟の要件のように思う。