常設イベントスペースを増やす商業施設が広がっている。コロナ下は、空き床対応として短期・中期の期間限定店や催事スペースをやむなく設けていた施設が目立った。今はむしろ、フロアの好立地に立派なスペースを構える事例の方が多い。
数年前に初めて常設イベントスペースを開設した都心SCは、別フロアにも同様の場を作ることを決めた。一つ目のスペースが好評で、リアルの接点やテストマーケティングの場を求める出店希望者が絶えないのが理由だ。正式出店につながらなくても、オンラインで話題のブランドなどを「無視できない存在」と見ているためでもある。
23年秋、専門店ゾーンT8の新設により京都高島屋SCに屋号変更した高島屋京都店。改装オープンに合わせ、期間限定店を展開する「ポップアップステージ」を約30カ所に倍増した。T8目的客=百貨店新客を呼び込むことに加え、「客数と客層の幅を増やす仮説を試す実験スペース」とも位置付けている。検証を重ねて将来のストアMD構築につなげていきたい考えだ。
イベントスペースの第一義的な目的は、館内各フロアににぎわいを作ることだろう。同時にオンラインを含め各地で生まれている新しい作り手、売り手とつながりを作る場でもある。将来の館の姿を考える場としても、その重要性が増しているように思う。