百貨店のメンズフロアから自主編集売り場が激減している。かつては各百貨店の独自性をアピールする場として注目され、数えきれないほど存在していた。ただし、自前でのバイイングから接客・販売まで運営には大きな手間がかかる。そこまで手をかける余裕がなくなり、退店や変容が相次いだ。
そうした流れに逆行し、自主編集売り場で奮闘する地方百貨店がある。高崎高島屋の「メゾンドエフ」だ。ファクトリーブランドやロングセラーのデザイン雑貨を揃え、新規客の獲得に成功している。これまでリーチできていなかった30代男性を開拓できた。売り上げの半分以上を代理購買の女性客が占め、新しい物を求める外商客の比率も高い。
同売り場は社内起業制度で採用され、19年にスタートした。〝ここでしか買えない〟商品構成が支持され、コロナ下でも売り上げ目標を上回り、売り場面積も拡大していった。桐生産地の刺繍をはじめ、太田のニットや富岡のシルク製品など、地元である群馬県の良い物を掘り起こし、再発見してもらうことで地域の活性化にもつながる。
担当の中里康宏バイヤーは「今は工場も発信できる時代。一般的に無名でも熱心なファンがいるファクトリーブランドは多い。互いに協力して新たな魅力を伝えていきたい」という。改めて作り手と使い手をつなぐ場が求められている。