24~25年秋冬メンズファッションウィークが間もなく欧州で始まる。新年でもあり、この10年のメンズファッションを振り返ってみた。そうすると意外なことに、鮮明に記憶に残るショーが少ない。今でも強烈に覚えているメンズのショーは、いずれも10年以上前のことだ。
メンズファッションにフルイド(風をはらんで揺れる)ラインを取り入れて話題をさらった、ルカ・オッセンドライバーの「ランバン」のデビューが06年秋冬。ヒップホップカルチャーをラグジュアリーにミックスして話題となった、リカルド・ティッシの「ジバンシィ」は09年春夏のこと。たくさんの俳優をモデルに起用して迫力のクラシックスタイルを見せた「プラダ」のショーも12年秋冬である。
この間の記憶があいまいなのは、ショーの見せ方が変わったせいだ。メンズコレクションをウィメンズとともに見せるデザイナーが増えた。「グッチ」の前任クリエイティブディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ、「メゾン・マルジェラ」のジョン・ガリアーノらが、あいまいな性差の概念を背景にしたモデルを起用して、男性らしさと女性らしさを行き来するデザインをしてきた。
今年のファッションは、時代の変化をとらえてどんな美しさを描くのか。まずは、その第1弾となる秋冬の欧州メンズファッションウィークに期待したい。