《めてみみ》百貨店の直営工場

2023/03/28 06:24 更新


 大手百貨店に建装部門があるが、その実情はあまり知られていない。三越伊勢丹グループの三越伊勢丹プロパティ・デザインもその一つ。これまでは百貨店事業の補完的な位置づけで、独自の成長戦略が描きにくかった。百貨店の顧客基盤を活用しながら、外部への事業を拡大する。

 同社は建装、PM(プロジェクトマネジメント)、住環境の事業が柱。最大の特徴は家具の自社工場である三越製作所を保有すること。1904年に三越呉服店(現三越伊勢丹)が設立された6年後から洋家具を作り続けている。大手百貨店で直営工場を持つのは同社だけだ。

 主力の建装事業はゼネコンなどからホテル、オフィス、商業施設の内装を受注し、百貨店からの仕事が15%、それ以外からが85%。プランニングからデザイン・設計、施工と自社工場を一貫し、トータルな付加価値を提供できる。ラグジュアリーブランドの内装の受注が多いのはその表れだ。

 三越製作所は国会議事堂や最高裁判所の内装、玉座(天皇陛下が総理大臣任命時などに使用する椅子)の製作を請け負い、即位の礼で使う高御座と御帳台所の修繕の実績がある。「ヨシオクボ」の21~22年秋冬コレクションで、工房がランウェーとして使われた。職人の手仕事による技術力と百貨店の事業基盤を生かしてハイグレードな事業領域を広げる。



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