《めてみみ》経費負担のお願い

2022/05/17 06:24 更新


 百貨店はコロナ禍で傷ついた事業の再生に向け、売り上げの回復とともに、経費構造改革の課題に直面した。人件費、地代・家賃、外部委託のあらゆる経費を見直している。損益分岐点を引き下げるのに例外はない。

 一例はそごう・西武が今春、取引先に配布した「西武池袋本店とそごう横浜店の施設利用に伴う経費負担のお願い」という書面だ。更衣ロッカー使用料(月額一台1500円)、食堂など福利厚生施設使用料(月額一人1000円)、入館証発行手数料(新規入店時一人1000円)を徴収する内容。

 SCなどのテナント契約の場合は契約時に更衣ロッカー代、在庫保管所など施設使用料が明示され、実質的な取引条件の一つとなっている。一方で、百貨店では更衣ロッカーなどの無償提供は長年の慣行だったため、突然の新たな経費負担増に戸惑う取引先は多い。

 そごう・西武は百貨店と専門店テナントを組み合わせたハイブリッド化に着手しており、25年度にリテール4割、テナント6割にする。同じ店舗でも定借の取引先に対してロッカー代などを徴収している。「現在は交渉中であり、個別にでも説明させてもらっている」(そごう・西武)という。店舗構造改革の過渡的な措置とはいえ、なぜ池袋、横浜だけの要請なのか。手付かずの納品掛け率の見直しなど多くの疑問が残る。



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