コミックやゲームのキャラクターをモチーフに使った服を作るブランドは多い。固定ファンがいるキャラクターを商品のモチーフに使えば、自社の商品を既存顧客以外にも買ってもらえるチャンスが増えるからだろう。
その手の協業商品をお披露目する記者会見では、主催者側からの説明や商品紹介とセットで必ずキャラクターの着ぐるみが本人として登場する。子供など一般の客を対象にしたイベントなら、ここで会場がどっと沸くと思う。
しかし、メディア向けの会だと、登場した際の反応はそうならない。テレビも雑誌もネットもニュースとして取り上げる構えだし、コロナ下なので、着ぐるみが壇上でおおげさに手を振り、ポーズを決めても、会場にはシャッター音が響くだけ。
歓声もなく、目の前の大人たちの笑顔もない状況であっても、着ぐるみたちは普段通り愛嬌(あいきょう)たっぷりの仕草で役割を演じ続ける。先日のイベントで見た「ピーナッツ」のスヌーピーとチャーリー・ブラウンの着ぐるみもそうだった。
イベント終了後に偶然、控え室に戻る彼らと鉢合わせしたのだが、スヌーピーもチャーリーも愛想よく手を振り、ポーズを取り、記念撮影にまで応じてくれた。仕事で求められる役割をどんな時も全うする。プロとして大切な心構えを着ぐるみの中の人に教えてもらったように感じた。