日本企業が他国に進出する上で、投資が必要なのは、人材やマーケティング、データ基幹システムなどだ。中国でもシステムの基本構想、データ収集・分析の視点をぶらさないことが、後々の事業成長に関係する。
特に、システムで右往左往する小売業は多いようだ。ある企業は、日本人トップではうまく伸びず、中国人を招くと、自身の仲間を連れてシステム全体を刷新した。中国のシステム会社は導入資金や使用料を安価で提案してくるため、日本本社も了解するが、導入したら「これまでのデータが読めなくなった」と気づく。
データは取れていても、UI(ユーザーインターフェイス)が違うので、日本人には「操作しにくく分析しづらい」となり、本社側が中国側に何を言えばよいかも判断できなくなる。
現地での資本提携やヘッドハンティングでも、システム変更やEC重視を事業変革の中心に据えがちだ。しかし、大方がシステムは他社任せで会社をかき回して終わり、再度の抜本改革か撤退かとなる。
一方、日本人トップが店頭システムの操作マニュアルを分かりやすく作り上げた好例もある。システム自体をよく理解し、中国人社員に使い方を率先して指示する。下層に任せるのが一般的な業務も自ら行い、細部まで目が行き届く。現地トップのビジョンと努力が事業発展を左右する。