〝To be, or not to be, that is the question.〟 「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」。シェイクスピア「ハムレット」の有名な独白だ。商社ビジネスを語る際、「持つべきか、持たないべきか」といつも議論になるテーマがある。自社工場、メーカー機能を持つべきか、ファブレスメーカーに徹するかという物作りの面と小売りまで手掛けるか黒衣に徹するか、という二つの切り口だ。
ともに動きが激しい。東レインターナショナルは22年度をめどにベトナムに自前縫製工場を設立。製品開発のマザー工場と位置付け、QR対応する。帝人フロンティアは、医療用ガウンを安定供給するため、松山事業所内に不織布製造・加工から自動縫製までの一貫工場を作り、今年12月の稼働を目指す。田村駒が20年に買収した田倉繃帯工業は北陸第二工場を新設し、今春稼働する。
小売りではEC事業で消費者と直接つながる。丸紅はインフルエンサーと協業、自社サイトを立ち上げ販売する。スタイレム瀧定大阪はECに特化したブランドを複数持ち、運営、販売ノウハウを蓄積している。
冒頭のハムレット。「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」との訳もある。この解釈なら各社の結論はこうだろう。「このままでいいはずがない」。だからリスクを冒してでも前に進むのだ。