伊藤忠商事東京本社の繊維カンパニープレジデント室に大きなだるまが鎮座している。以前「ヴィヴィアン・ウエストウッド」のイベント時に作ったものだ。
同カンパニーの21年4~12月の純利益(IFRSベース)は166億円で、「事業会社の大半が黒字化し、今期予算の230億円が見えてきた」と諸藤雅浩繊維カンパニープレジデント。前期の大苦戦を受け、事業会社中心に減収基調でも利益が出るよう低重心経営を徹底し、ブランド力強化にも取り組んで復調してきた。
ここ数年、予算未達が続き、諸藤氏は忸怩(じくじ)たる思いを持つ。「餅は餅屋」と投資方針を見直し、ブランド事業を核に、原料からブランド販売までを一貫する強みを生かしてサステイナブル(持続可能な)商材を充実し、付加価値を生み出す施策に力を注ぐ。
「まずは240億~250億円の純利益を普通に出し、300億円を狙えるところまで早く行きたい」。アジアを含めたブランド事業の拡大、好調なスポーツ分野、資材の世界販売、事業会社のEC販売強化など「大きな塊をさらに大きくする」ことで成長を目指す。
冒頭の大だるまは、ブランド事業だけで純利益200億円を出した時に目を入れるという。それがいつになるのか。厳しくも明るく繊維カンパニーを引っ張る諸藤氏の手腕に期待したい。