《めてみみ》生まれ変わる紳士服専門店

2021/12/27 06:24 更新


 コロナ禍で大きなダメージを受けた業界の一つが紳士服専門店ではないだろうか。以前からクールビズや服装の自由化などオフィススタイルが多様化していたが、コロナ禍がスーツ離れに追い打ちをかけた。主力の男性向け既製スーツが苦戦を強いられ、新たな分野に活路を見いだそうとした1年だった。

 ビジネスやリモートワーク、おうち時間、軽い運動、仮眠などが1着でかなう「パジャマスーツ」をヒットさせたAOKI。同商品を軸にしたカジュアル領域の年間売上高を今後3年で100億円以上に引き上げる方針を打ち出した。想定以上に幅広いシーンで着用され、緊急事態宣言が解除されてからも売り上げが急増している。

 青山商事でもオーダースーツやレディス分野、ECと実店舗を融合した「デジタルラボ」などを重点にビジネスウェア事業の変革と挑戦を続けている。特にオーダースーツはレディスを含めて扱い店舗を拡大し、売り上げも大幅に伸びている。

 これからは両社とも紳士服専門店という一般消費者が抱くイメージからの脱却が求められるだろう。AOKIでは「ライフ&ワークスタイル」を掲げ、新たな業態への進化を目指している。大きな転換期を迎えた紳士服専門店。強みを生かしつつ、どこまで変われるのか。来年以降、真価が問われることになりそうだ。



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