《めてみみ》対話力

2021/05/14 06:24 更新


 5月11日を期限としていた3回目の緊急事態宣言が月末まで延長され、小売店各社は対応に追われた。自治体の要請内容に沿いながらも、営業範囲は施設によって分かれた。テナントに対する説明もなく、休業延長に応じたところもあったと聞いた。

 友人のショップオーナーのSNSには、宣言延長を前に状況報告が載った。一方的に休業延長を決めた施設への静かな怒りと、必死に話し合ってくれる施設への感謝がつづられていた。その話し合いを受け、全スタッフを集めて社長としての自らの決意を話すという。従業員とその家族の生活を守ろうとする小売店のオーナーの気迫のようなものがひしひしと伝わってきた。

 不安を感じている従業員に対し、宣言延長に伴う現状報告と将来に向けての見通しを雇用主は説明する責任がある。施設もテナントへの説明責任があるのは当たり前のことだろう。そして、ひっ迫する医療現場の状況やなぜそれが改善されていかないかも、行政は国民に説明する責任がある。

 政治家が好んで使う「説明責任」なる言葉を平たく言えば、対話力だと思う。コロナ禍という未曽有の事態において、各国の政治家は国民との対話力が問われている。利権やしがらみではなく、自分の家族に語るように温かく丁寧に対話する力があるのか。国民はそこを見ている。



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