日常は大きく変わった。都心部よりも衛星都市にある店の方が、売り上げが堅調というのも、その一つだ。テレワークの広がりや3密を避ける行動が、どちらかと言えば非日常空間である都心部への往訪を抑制しているからだ。
ある地元客中心のSCは、全館営業再開後の6月以降、前年並みの売り上げで推移中。飲食やマッサージなど〝密〟になりやすいサービスは引き続き低調だが、食物販をはじめ、生活雑貨部門が6~11月累計でほぼ2ケタ増、衣料品も増収ペースで貢献した。
「業種別で客単価が落ちているところがない」のが特徴だ。毎月の業種別売上高と購買客数の推移では、たしかに各業種とも客単価が向上している。食物販は、内食の機会増によるまとめ買いと分かりやすい。非物販ではペットなど高単価商品が好調と指摘していたが、非食品でもまとめ買いが増えたと思われる。
旅行など外出自粛費用が家ナカ消費に回っているとの見方もできる。日常を少しでも快適に、豊かにということなのだろう。都心部のSCによれば、不振の飲食の中では「非日常の方が良い」という。せっかく都心に来たのだから、高級飲食店で。そんな消費行動のようだ。新常態と言われるなか、日常と「非日常=憧れ」の消費の差が大きくなるのか、それとも変わらないのか。気になっている。