三井不動産が東京ドーム、読売新聞グループ本社と資本・業務提携する。東京ドームに対する株式の公開買い付けを11月30日から開始、完全子会社化した後、20%の株式を読売グループに譲渡する。総額1205億円の大型買収だ。
東京ドームはプロ野球の読売巨人軍の本拠地であるスタジアム、ホテル、遊園地、商業施設「ラクーア」などで構成する「東京ドームシティ」を運営、コスメ・雑貨店「ショップイン」を中心に流通事業なども行う。東京ドームシティの年間来場者は約4000万人に上る。
しかし、コロナ下のイベントの中止・縮小で経営が悪化、新たな経営計画を策定中だ。三井不動産の傘下となって、同社の商業施設事業を含めた街作りのノウハウを活用し、経営を立て直す。
三井不動産にとっても、意義は大きい。エンターテインメントやスポーツの強化を通じて、この間重視してきた「リアルならではの体験価値」がさらに高まることが期待される。ファン層の広い巨人軍、巨大メディアで商業施設も運営する読売と組むことで、顧客基盤の拡大にもつながる。
コロナで商業施設を取り巻く環境は激変、1社の力だけでは対応が難しくなった。新たなビジネスモデルを作るため、今後、M&A(企業の合併・買収)を含め、他企業と連携する動きが商業施設でも加速しそうだ。