《めてみみ》自然への回帰

2020/09/25 06:24 更新


 ニューヨークから始まった21年春夏デザイナーコレクションが、ロンドン、ミラノと発表されている。例年だと、これに合わせて各都市を回っていくのだが、今年は事情が異なる。コレクションの発表方法もデジタルが軸で、そこに展示会などのリアルを混ぜながら服のクオリティーを伝えようとしている。

 コロナ禍を経て、ファッションショーの在り方が変わったというデザイナーもいる。バイヤーやプレスへのお披露目の役割を果たしていたショーは、最終消費者に向けたものになったという。デジタル配信がベースとなる中で、ショーの位置づけをBtoB(企業間取引)からBtoC(企業対消費者取引)へと変えるブランドがあるのも当然だろう。今後はデジタルというツールが、新しい手法としてより探求されていくのは間違いない。

 春夏の傾向として序盤から感じられるのは、自然への回帰やナチュラルなムードだ。密を避けるという意味もあるのだろうが、いくつかのブランドが緑豊かな自然の中でコレクションを発表した。春夏らしいきれいな色をのせた花柄やアニマル柄などが広がっている。かつて人類が経験した苦難を現代に重ね、その当時の服をデザインの着想源にしたブランドもある。

 ミラノに続きパリでも発表も控えている。この先、どんなクリエイションが登場するのだろうか。



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