《めてみみ》和三盆と手袋と

2020/04/15 06:24 更新


 香川県を代表する産品の一つが和三盆。塩、綿花と並んで讃岐三白と称された。和三盆の歴史は、江戸時代に8代将軍吉宗が国産を奨励したことが始まり。当時は白砂糖の大半が長崎を経由したオランダや中国からの輸入品に占められていた。各地で糖業が試みられたが、讃岐は気候や人材に恵まれて発展。地元出身の学者、平賀源内も和三盆の開発に貢献したという。

 三谷製糖は和三盆の老舗の一つ。1804年創業という歴史ある企業だ。昔ながらの製法にこだわりながら、可愛らしい雑貨感覚のパッケージなど洗練された多彩な商品を揃える。地元での販売を大事にしながら、著名百貨店のネット販売などでも銘品に取り上げられている。

 香川県は東かがわ市を中心とする手袋産業も有名だ。国内手袋の90%が作られている。新型肺炎以降、国内生産見直しの声も出てはいるが、手袋は職人技に頼る部分が多いため、もはや量は作れない。何よりも高級品が多いだけに小売業の低迷が産地に大きく響く。

 この間も産地ブランドの拡販などに努めてきたが、手袋だけの訴求では難しい。豊かな自然、高松市や坂出市のうどんなど食文化を含めたアピールが重要になってきた。それでも自助努力だけでは限界。砂糖も国産を守るための政策がある。手袋の伝統を守る新たな施策が求められている。



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