東急ハンズが開始した新業態「プラグスマーケット」が興味深い。地方・郊外型百貨店や地方自治体などと協業し、地方再発見や地方共創を進める事業スキームだ。先週、近鉄百貨店草津店に1号店を開設、3月23日には大丸下関店にも出店する。
東急ハンズとFC契約を結び、両店とも百貨店社員が運営する。全国共通の統一MDではないのも特徴だ。伝え場(イベントゾーン)、売り場(ハンズMDゾーン)、話し場(テナントゾーン)の三つで構成し、伝え場や話し場を中心に地域特有の売り場を編集した〝ここにしかない〟売り場になる。
近鉄百貨店草津店のプラグスマーケットは「(両社の)チームで滋賀を巡って、地域資源の掘り起こしに取り組んだ」という。単独ではなかなか実現できないことも、百貨店と東急ハンズ双方の発掘力と運営力を掛け合わせたからこそ具現化できた。「地方再発見」の動きが広がっていることも、事業スキームを後押ししている。
「プラグス」のネーミングは、地域のモノ・コト・ヒトをつなぐ装置との思いを込めている。何をどうつなぐか。組み合わせは多様にありそうだ。百貨店の店舗閉鎖が続き、開発案件も少ない地方都市。それでも、埋もれている〝地域資源〟はいくつもあるはず。「つなぐ」ことをキーワードにした売り場開発に注目したい。