《めてみみ》再びセールを考える

2020/02/04 06:25 更新


 年末になると、年明けのインタビュー記事のためにセレクトショップや大手SPA(製造小売業)のトップに取材する。1年を振り返って商売に与えた影響が大きかったことは何か聞くのだが、昨年末は断トツに「温暖化」への言及が多かった。

 かつては春夏と秋冬を6カ月で二分してMDを組み立て、なおかつ、単価の高いアウターが売れる秋冬に商売のボリュームを取るのが定石だった。しかしここ数年は季節感が、春夏は3~10月、秋冬が11~2月というのが実態になってきた。

 とりわけ夏が長くなって、10月くらいまでTシャツで過ごせるので、8月の終わりに秋物を置いたところで客の食指は動かない。11月に入ると、ダウンジャケットなど冬アウターを投入するが、たいていは暖冬で年内は売れずに終わる。

 年明けにようやく寒くなったとしても、その時点で冬のセールは始まっている。書き入れ時にわざわざ値下げして売ることになるわけで、これでは収益もおぼつかない。各社の話を総合すると、どこもおおよそこんな感じだ。

 「温暖化」にどう対処するのか質問すると、共通して夏の長期化に合わせてMDを組み替える。冬物に関しては、MDうんぬんより、セール時期を遅らせるべきとの答えが返ってきた。再び業界全体でセールを考える時期に来ているのかもしれない。



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