20年春夏レディストレンドは、ビッグショルダーに象徴される80年代のトレンドに代わって、70年代の要素を取り入れたスタイルが広がった。フランスの上流階級のトラディショナルなイメージを背景にしたフレンチシックがトレンドの一つになっている。
トレンドアイテムとして、70年代のレトロで懐かしいムードをはらんだテーラードジャケットが注目されている。中でも、脚光が当たるのが、マリンのモチーフでもあるメタルボタンのネイビーブレザーだ。ネイビーブレザーといえばトラッドのベーシックアイテム。かつては〝紺ブレ〟とも呼ばれていた。
90年代初頭の渋カジ(渋谷カジュアル)ブームとともに、紺ブレブームが日本を席捲した。それまでトラッドのベーシックアイテムだった紺ブレは、渋カジとともにジーンズとコーディネートするストリートスタイルとなった。とはいえ、その紺ブレブームからすでに30年近くが経過しようとしている。
紺ブレブームもトラッドも経験してきた記者にとっては、〝今さら感〟が強いのだが、若い世代にとっては違って見えるのかもしれない。90年代をリアルに経験していない世代でさえ、もう社会人になっている。トラッドの定番商品が、実はたんす在庫にない商品になっていた。果たして、かつてのような大ブームとなるのだろうか。