出張で毎年訪れるインドネシア。東南アジア最大の経済規模で、中間層の発展とともに現地のファッション市場も拡大中だ。訪れる度に様々な発見があり楽しみだが、いまだに思い出しては反省することがある。
それは、まだ出張に行き始めた頃だった。現地でファッション関連の仕事をしている日本人の方と話をしている時に、なにげなく「ネシア」と言ってしまい、「そういう略し方は侮蔑的な意味合いがあるから、やめた方がいい」と諭された。そうした略し方が失礼に当たるとは全く知らなかった。そもそもそれを知らないこと自体が問題で、私自身が無意識に現地を軽く見ていることではないかと、深く反省した。
相手の国の文化や習慣、マナーに興味を持つことは最低限必要だ。ましてやビジネスともなれば、知らなかったでは済まされない局面も出てくるだろう。自分がしてしまったような無意識の差別は、グローバルに仕事をする上で最も気を付けなければならない。
そう思うと、「中間層が増えてきて、日本が好きなんだから日本のファッションも売れるだろう」という発想も、無意識に相手のことを考える力を欠いているように思える。市場はそれほど単純ではないはず。相手へのリスペクトを持って仕事をしないとうまくいかないのは、どんな業界でも同じに違いない。