コレクションの取材でニューヨークを訪れると、新しい商業施設がオープンしていることに気づく。ニューヨークが他都市のコレクションと違うのは、市場の変化を身近に感じられること。ミラノやパリとは市場のスピード感が異なる。
3月、マンハッタンの西側にハドソンヤーズという商業施設がオープンした。ニーマンマーカスが核テナントとなり、ハイファッション分野ではダラスのセレクトショップ「フォーティファイブテン」やラグジュアリーブランドが揃う。ハイファッションだけではない。H&Mやザラ、ユニクロなどのファストファッションも出店している。
バーニーズ・ニューヨークやフォーエバー21など、米国市場はハイファッションからファストファッションまで不振と言われる。にもかかわらずである。しかも、この秋には他にも商業施設がオープンする計画だ。ハドソン川を挟んで対岸のニュージャージーに「アメリカンドリーム」が開設されるほか、ミッドタウンにもノードストロームの新店が予定されている。
実店舗よりもECがけん引する状況を疑いたくなるような出店ラッシュである。大規模な開発にふさわしい売り上げが取れるのか。オープンから半年を経たハドソンヤーズを回っていて、飲食以外の客がほとんどいない状況に不安も感じている。