《めてみみ》「ワン缶」タイム

2019/08/27 06:24 更新


 「ワン缶」なる言葉をご存知だろうか。バイトや会社終わり、飲み屋に行く時間もお金もないときに、ビールや酎ハイを仕事仲間と1缶だけ飲み、その日の出来事などについて話すというものだ。

 夕方から夜にかけて、繁華街の片隅のコンビニエンスストアや自動販売機の前で、仕事を終え、電車に乗るまでのわずかな時間をワン缶で過ごす人たちを見かける。数年前まではファッションの販売員とおぼしき人も多かった。

 最近はワン缶を楽しむファッション販売員の姿がめっきり減った。理由の一つは、コンビニなどの前で自社の社員がたむろする姿を顧客に見とがめられるのはよろしくないと本社からお達しが出たから。

 もう一つは、若い世代を中心に飲み会を敬遠する人が増えているから。いずれも今どきの事情を考えればやむを得ないが、勤務以外のオフタイムに販売員同士がコミュニケーションを取る機会が減ることにもなる。

 無理強いされた飲み会で先輩に説教を食らうのが楽しい新人なんていないだろう。だが、ベテランの販売員の中には、若い時、仕事以外のくつろいだ時間に、色々な先輩に接客のコツや秘訣(ひけつ)、やりがいを直接聞けたことは良い経験になったという人もいる。販売員の皆さんが世代を超えて気軽に交流できる良い方法が、ワン缶以外に何かあれば良いのにと思う。



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