《めてみみ》残るニーズ

2018/12/11 06:24 更新


 メンズセレクトショップの19年春夏物の展示会取材をしていて気付いたことがある。カジュアル系のショップで、ここ数シーズン、セットアップスーツの提案が増えていたが、来春夏は趣が違う。ドレス系ショップの中にもセットアップ強化の動きが見られた。

 カジュアル店の商品はストレッチ素材のジャケットにイージーパンツ。Tシャツなどを合わせた、ドレスコードの厳しくない職場で通用するタイプが主流だ。

 ドレス系のショップでも同じようなタイプが見られたが、特に目を引いたのは、かっちりした仕立てのスーツなのに素材はウール・「コーデュラ」混で、しわになりにくく、磨耗にも強いタイプ。

 パッカブルで専用袋に収納でき、リュックサックを背負っても生地の傷みや型崩れを気にせずに済む。タイドアップがしっくり来る、お堅い職場向けの見た目だが、雑に使ってもくたびれにくいところがポイントという。

 上下で8万~9万円とちっとも安くないが、オン・オフ兼用のカジュアルなセットアップでは取引先の目がうるさいし、素材が上等過ぎても着用ダメージが気になり、それはそれで仕事に集中できない。そういう客の声を集めて企画したのだそうだ。メンズスーツは需要が減る一方だが、わずかに残るユーザーのニーズをしっかり捉えれば売れる商品は作れる。



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