過ごしやすい季節となり、秋のおしゃれを楽しむ女性が目立つ。プリーツなどのロングスカート、無地のワイドパンツ、ストレートやスリムのデニム…。街の20~40代女性たちのボトムは多様だ。飛び抜けて多いものはなく、どのボトムもほぼ同じ割合に見える。
トレンドを意識する人もいれば、それよりも自分に似合う物を重視する人もいるためだろう。「持って生まれた体の質感やラインの特徴」から似合うデザインや素材を導き出すという骨格診断が話題とも聞く。自分の嗜好(しこう)やライフスタイル重視の消費傾向がますます進んでいるようだ。
ファストファッションの台頭で〝鮮度〟が重視された後、「ノームコア」の潮流や書籍『フランス人は10着しか服を持たない』などの話題もあり、〝スロー〟志向も広がった。今秋のファッションは「究極の普通」とは違う艶やかさがあるが、ノームコアやスロー志向を引き継ぎ、素材やディテールに質の良さを求めるようだ。
製造小売業型が主流となったファッション業界。重視されてきたのは、何を、いつ、どれだけ投入するかというMD(商品展開計画)だった。収益性を高める上でMDの精度向上は欠かせない。が、MDの前提にあるべき、何をどのように作るかという丁寧な商品企画こそが、ブランドの価値を決める最も重要な要素ではないか。