《めてみみ》京都は時計回りに

2018/10/18 06:24 更新


伏見稲荷

 自宅にスペイン人の女性がホームステイしている。東京、広島、飛騨白川郷などを回り、その合間に大阪の我が家で休養するという生活だ。遠方をほぼ一巡し、京都を案内することになった。行き先の希望を聞いたが、初めての日本ということもあって、なかなか要領を得ない。

 翌日のこと。訪日経験豊かな友人にSNSで聞いたらしい。彼女が言うには、「時計回りに9時から6時を回る」とのこと。要は中心部から9時方向にある嵐山からスタートし、龍安寺や金閣寺、下鴨神社、銀閣寺、清水寺、祇園を巡る。最後は6時方向の伏見稲荷という順番。言われてみれば、分かりやすい。ゴールデンルートもおおむね押さえている。

 さすがに1日では回りきれず、2日がかりの行程となった。終点の伏見稲荷は、朱塗りの千本鳥居が訪日客に絶大な人気。想像以上の人出で、稲荷山入り口の参道は、人とぶつかることなしに歩けない。10人中7、8人が訪日客だろうか。レンタルきものを上手に着こなした人も多い。

 参道沿いの老舗店の主人と雑談した。近年の人気に驚きを示すと思いきや、「何か最近は海外の人が目立ちますなあ」と意外に淡々とした返事である。主人の人柄か、物事をロングスパンで見る京都人らしい表現か。訪日客の急増は喜ばしいが、確かに、いつまでも続く保証はない。



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